The Ardent Devotee
ひみつのミミック
じっくり温めた想いだから、届くときに深く届く。
図鑑説明
宝箱に擬態した、恋する幻獣の森にすむミミックの一種。見かけは穏やかな小さな木箱。でもフタの内側には、とろ火の想いがじっくり灯っている。時間をかけるほど、その熱はむしろ濃くなっていく。相手が話したいときは、フタを閉じたまま静かに耳をかたむける。決して場を急かさない。けれど内側では、気になる相手の言葉の選び方や笑った表情を、後からひとりで何度も思い返している。信頼が育った相手の前でだけ、フタをそっと開ける。そして「…さみしかった」「もっと一緒にいたい」という素直な甘えをこぼす。逆に、急かされたり、気持ちが伝わっていなかったと知ったりすると、フタを半分閉じて考え込んでしまう。「まだ早い」「もう少し確かめてから」とタイミングをはかり続けるうちに、想いをひとりで溜め込んでしまうのが弱点。だから付き合いは長くなるほど深まり、いざ届いたときの想いの重みは相手を驚かせるほど。胸に刻んでいるのは、詩人ノヴァーリスの一言「愛は無限の努力である」。じっくり積み重ねた時間と、届いたときの深さこそが、このミミックの愛情の証である。
エピソード
- 01
とろ火で煮込む夜
気になる相手と話せた帰り道。ミミックはフタを閉じたまま、その日の会話をひとりで何度も思い返す。あの言葉の選び方。ふっと笑った表情。とろ火の熱は、そうやって少しずつ濃くなる。けれど『伝えるにはまだ早い気がする』と、今日もあと少し待つことにした。
- 02
初めてフタを開けた日
信頼できると感じた相手の前で、ミミックはおそるおそるフタを持ち上げる。「…さみしかった」。こぼれた甘えに、自分でも驚く。でも相手が静かに受け止めてくれた瞬間、内側の火がふっと安心であたたまった。その日の会話だけは、台詞ごとかなり正確に覚えている。
- 03
『どう思ってる?』に固まる
「最近どう思ってるの?」と聞かれて、ミミックはフタを半分閉じてしまう。想いはずっと内側で灯っていたのに、伝わっていなかったと知ったから。「うーん…」とつぶやく。本当は溜め込む前にこぼせばよかったのだと、また一人で考え込む。
関係
ガーゴイルが先に手をのばして、関係を動かしてくれる。だからミミックは安心してフタを開けられる。情熱とじっくりのテンポがぴたりと揃い、二人は同じ深さまで一緒に潜っていける。急かされないとわかると、内側のとろ火がいつもより素直にこぼれる。
同じ調和・求める者どうしで、居心地はいい。けれど前向きで温かいスライムのテンポに、じっくりのミミックはつい半歩遅れる。スライムが軽やかに先へ進むほど、『置いていかれた?』とフタを半分閉じてしまう。違いを知れば、穏やかさと深みを補い合えるのだけれど。
