CHARACTER

The Inner Storyteller

秘密の小説家

静かな顔の内側で、物語はいつも動いている。

01

図鑑説明

外からは口数の少ない、静かな村人に見える。けれど頭の中では、アイデアと空想が一日じゅう動きっぱなしの書き手です。胴の側面には5つのつまみが並ぶ。そのうち、開放のひとつだけが右いっぱいに回り切って止まっています。ふとした風景や本の一行から「もしこうだったら」をいくつも立ち上げる。それがウケるかどうかは気にしません。流行と無関係な場所で、誰にも似ていない世界観を静かに育てます。感じる力と想像する力が、まっすぐつながった人です。光や音、言葉のわずかな違いまでよく拾う。拾ったそばから、物語の素材に変えてしまいます。だから一人でいても、退屈という言葉をほとんど知りません。住みかは、一人でじっくり潜れる静かな場所と、種を拾うための散歩道。机の下や脇には、ほんのり光る小さなノートを隠し持っています。中身は、誰にも見せたことのない断片でいっぱいです。うとうと居眠りするふりをしては、こっそりページに書き足している。深く感じ、深く考えるぶん、言葉は遅れて出てきます。だから「何を考えているか分からない」と思われがちです。無神経な一言は、平気な顔の下に何週間も残ります。それでも、分かってもらうために自分を曲げる道は選びません。「静かだね」とよく言われますが、本人いわく「頭の中は、ずっと騒がしいんだけどな」。

02

エピソード

  1. 01

    居眠りのふり、その下で

    会議でも休み時間でも、半目でうとうとしているように見える。だが机の下では、ほんのり光るノートにペンが静かに走っている。「寝てる?」と覗き込まれると、とっさにノートを閉じる。中身は誰にも見せられない、書きかけの物語の続きだ。

  2. 02

    相づちの裏側

    うんうん、と穏やかに相づちを打っている。けれど頭の中では、まったく別の物語がいつの間にか進んでいる。話が一段落して急に黙り込むことがある。心の中の続きが面白すぎて、戻ってくるのに少し時間がかかるからだ。

  3. 03

    散歩道で固まる

    散歩の途中や湯船の中で、ふいに設定やひとつの場面が降ってくる。するとその場でぴたりと立ち止まり、半目のまま動かなくなる。まわりには居眠りに見える。でも頭の中では今まさに、新しい世界がひとつ立ち上がっている。

  4. 04

    好きな話題のスイッチ

    雑談ではぽつぽつとしか話さない、隅の聞き役。ところが好きな世界の話が始まると人が変わる。急に口数が増え、結論だけを先に言って、途中の説明を飛ばす。聞き手が「えっ、どうしてそうなるの」と置いていかれる。気づけば、もう何時間も経っている。

03

関係

内側がそっくりで、違うのは人と関わるエネルギーだけ。演説家が「これ、絶対みんなに見せたほうがいい!」と、小説家のノートを外の舞台へ運び出す。小説家は半目のまま「……まあ、あなたが言うなら」とだけ返す。そして、そっと深さと静かな時間を渡す。一人では一生隠していたはずの物語が、演説家の声でようやく日の当たる場所へ出ていくのです。

気になる一言を、小説家は内側で深く抱える。そして何週間も再生してしまう。一方の気球乗りは「まあ、なんとかなるよ」と、その場の和を優先して穏やかに流す。小説家には「ちゃんと向き合ってくれない」と映る。気球乗りには「そんなに重く考えなくても」と映る。ケンカの作法がすれ違うのです。ただ違いが分かれば、おたがいを補えます。気球乗りのおおらかさが揺れを和らげる。小説家の深さが、相手の見逃した小さなことを静かに照らします。

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