The Social Anchor
お誘いの宴会部長
「おいでよ」のひと言で、居場所を作る人。
図鑑説明
「今度みんなでご飯行こう」を社交辞令で終わらせません。本当に日程と場所を決めて、ちゃんと開いてしまう貴重な発起人です。胸に並ぶ五つのつまみのうち、外向のひとつだけが自然と右いっぱいまで上がっています。本人は回した覚えもないのに、人と囲む食卓で元気を充電します。仕切るよりも「居場所を作る」のが得意です。来る者は拒まず、遅れて来た者も歓迎します。いつ会っても、だいたい同じ機嫌でいてくれます。この安定感のおかげで、人は気軽にここへ戻ってこられます。外さない定番の店といつもの鍋を信じ、細かい段取りはゆるく流れに任せます。だから誘いやすく来やすい空気が、自然とできあがります。広場のまんなかで「ここに来れば誰かいる」鍋を毎晩ゆるく開いています。迷子になった旅人が、最後にたどり着く居場所になっているそうです。多少の失礼やドタキャンは「そういうこともあるよ」で受け流します。人の縁を切らさず、長く太く育てていきます。ただし、おおらかに流せるぶん死角もあります。深刻な悩みを軽い相談として受け取ってしまうのです。向き合うべきもめ事を「まあまあ」とうやむやにすることもあります。口ぐせは「来週空いてる?」「狭いけど来なよ」。励ますより先に、本当はゆったりした聞き役です。客用の取り皿と座布団がなぜかやたら多いのも、この者の家の定番です。
エピソード
- 01
誰も来ると確約していない満席
広場に敷物を広げ、人数分の席をきっちり並べ終えてご満悦です。だが肝心の集まりは、今夜も「流れで決める」ゆるさ。まだ誰一人「行く」と返していません。席だけが先に満席で、人はまだゼロです。それでも本人は「まあ、誰か来るでしょ」と鍋に火を入れます。
- 02
幹事じゃない日も取り分けている
自分が呼んだわけでもない集まりに、混じっただけ。なのに気づけばメニューを回し、注文をまとめ、取り皿を配っています。誰かが「いつもありがとう」と言うと、きょとんとして「あれ、おれ何かした?」。世話を焼いている自覚すら、たいていありません。
- 03
ドタキャンを本当に引きずらない
開始三十分前に「ごめん今日無理になった」と連絡が届きます。それでも「了解、また今度ね」と短く返して、それきりです。根に持つ気配が一切ありません。空いた席ぶんの鍋を残りの面々で平らげて、いつもの夜にします。減点方式で人を見ないから、抜けた者もまた気軽に戻ってこられます。
- 04
旅人がたどり着く灯
迷ったあげく行き場をなくした旅人が、最後にたどり着くのがこの広場の鍋でした。「狭いけど来なよ」と席を一つ詰めます。名前もこれまでの事情も値踏みせずに、椀を差し出します。腹を満たして帰る頃には、旅人はもう『いつもの仲間』の顔になっています。
関係
中身はすべて同じで、違うのは社交のつまみだけ。宴会部長が「今夜うちで鍋やるよ、来なよ」と広場の輪へ連れ出します。すると湯守は、隅にちんまり座って湯加減のいい顔でくつろぎます。騒ぎがひと段落した深夜、二人きりで残り湯のような静けさに浸ります。気を使わない、いちばん楽な本命同士です。
場の隅に気まずい空気が立ちこめた時、花火師が「それ、おかしくない?」と本音をその場で打ち上げます。宴会部長はとっさに「まあまあ、今日は楽しくいこ」と丸めにかかります。花火師には、その『まあまあ』が逃げに映ります。宴会部長には、相手の直球が場を乱す一手に見えます。ケンカの作法が噛み合いません。それでも、こちらの動じない安定が花火師の揺れの港になります。相手の率直さは、こちらの先送りを断ち切ってくれます。
